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針路を聞く お茶の水女子大学・室伏きみ子学長

 ■創立140周年 社会貢献強化へ新機構

 ■女性の夢を実現する場、着々と

 お茶の水女子大学の室伏きみ子学長は4月の就任から「寝る時間も削る忙しさ」という。今年、創立140周年という節目に、国立大学法人として3期目の中期目標・計画づくりが重なった。このほど産学連携や社会貢献を強化する研究機構創設の構想をまとめ、「外部宣伝が得意ではなかった部分を改めたい」という室伏学長に聞いた。(平山一城)

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 --まず新機構について

 「来年度から6年間の中期目標・計画の素案に盛り込み、文部科学省に提出しました。国の予算措置を待つことになります。本学は特色のあるさまざまな研究開発で成果を挙げてきました。加えて、医薬品の開発に向けた研究も進んでいますし、化粧品、菓子類は共同研究企業から既に市販されています。でも、社会的に知ってもらう点では十分ではない。新機構を窓口として発信力を高め、積極的に企業などとの提携も進めたいと考えています。具体的には機構内に2つの研究所を設けます。1つは、国民が生活習慣を整え、身体を鍛えて、健やかな生涯を過ごせるような環境構築を目指す研究。もう1つは伝統ある保育・児童学や心理学をテコに少子化やいじめ、格差などを見据えた政策提言のできる研究を推進します」

 --昨年の学長選挙で述べた抱負につながりますね

 「人々が豊かな夢を育める社会をつくるために貢献できる大学。そう述べてきました。本学は、わが国初の女性のための国立高等教育機関として1875(明治8)年に設立され、女性たちの社会進出が困難な時代から数多くの優れた卒業生を送り出しています。国の内外で活躍する学者・研究者も少なくありません。2004(平成16)年の大学法人化の際には、『学ぶ意欲のある全ての女性にとって、真摯(しんし)な夢の実現の場として存在する』との標語を掲げました。当時の本田和子学長は本学出身の初の学長であり、今秋の140周年の記念式典では基調講演をお願いします。本田学長から私まで4代続いて本学出身の学長となり、女性の教職員も、私が教員になったころとは見違えるほど増えています。まさに女性が『真摯な夢』を実現する場が、女性たちの手で整いつつあるのです」

 --学内も、女性がリードする態勢になって…

 「内閣府の男女共同参画政策のお手伝いをしましたが、女性と男性の社会的立場には、まだ開きがあります。両者が助け合って平和に生きられる社会、その理想を日本からグローバルに広げたい。世界の異なる価値観や考え方を持った人々と理解しあい、切磋琢磨(せっさたくま)しながら、自らを成長させていくことのできる学園です。学びたくても学ぶことのできない開発途上国の女性たちを積極的に受け入れています。もちろん、本学には『教養と専門性を備えた女性リーダーの育成』が期待されており、現在でも大学のミッションとして受け継がれています。今後も、若い女性たちが社会に貢献できる人材となるために自己を磨き、社会の中で自らが何をすべきかを知る『学びの場』を提供します。伝統を引き継ぎ、附属小中高校や幼稚園・保育所、地域や同窓会の方々と協力し、全ての構成員が未来への希望を紡ぐことのできる学園環境を整備し、社会をリードする女性たちの育成に努めて参ります」

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【プロフィル】室伏きみ子

 むろふし・きみこ 1970(昭和45)年、お茶の水女子大理学部生物学科卒。東京大学大学院博士課程修了(医学博士)。96年、お茶の水女子大理学部教授。理学部長、理事・副学長を経て学長に就任。政府関係やNHK経営委員など公職多数を歴任。