徳島県と淡路島の間にある鳴門海峡などの海域で養殖されている、同県ブランド「鳴門わかめ」。地球温暖化の影響とみられる海水温の上昇などで収穫量が減少傾向にあるため、同県立農林水産総合技術支援センター(鳴門市)が暖かい海域でも成長が早い新品種を開発した。葉の食べられる部分(可食部)の重量は従来種と比べ最大で1・9倍もあり、本格的な養殖開始に期待が高まっている。
南方系ワカメと交配
ワカメは海水温が23度以下になったときに種苗をロープに植え付けて養殖する。同センターによると鳴門沿岸の海水温は約50年間で1~1・5度上昇し養殖の開始は10月初旬から現在10月下旬ごろになっている。
開始時期の遅れに伴い成長も遅くなり収穫も減少。平成3年に1万5584トンあった収穫量は25年には6453トンにまで落ち込み、将来さらに減少することが懸念されている。
このため暖かい海域に適した品種開発の研究が進められ、平成22年から鹿児島、長崎、大分の3県に生育するワカメと従来種との交配が始まった。
担当した同センター水産研究課主任の棚田教生さん(40)は「高水温にも適するように鳴門より南に育った性質を入れようと、南方系のワカメを掛け合わせた」という。
しかし、九州産ワカメとの交配では葉の表面にしわが多く、ゴツゴツしたような感じで流通している「鳴門わかめ」のような滑らかさはなかった。