安保法制公聴会

東京慈恵医大教授・小沢隆一氏「個別的・集団的問わず自衛権行使のためであっても武力行使はできない」

 もちろん、憲法9条をどのように解釈するか、学会には多様な説がある。しかし、多様な説が併存する学会の中で、集団的自衛権は違憲という点において、なかんずく、政府が長年、維持してきた集団的自衛権違憲論を、一片の閣議決定で覆すことに合理性、正当性がないという点について、幅広い一致がみられることに、今回の法案審議において特段の重視をお願いしたいと思う。法案の違憲性等について。私も呼びかけ人の1人である6月3日の発表の憲法研究者の声明が述べているように、今回の法案にはいくつかの看過しがたい違憲性が含まれている。以下、法案の違憲性や問題点について私見を述べる。

 第一に、歯止めのない存立危機事態における集団的自衛権行使の問題だ。自衛隊法と武力攻撃事態法の改正案は、存立危機事態における自衛隊による武力の行使を規定しているが、その中でのわが国と密接な関係にある他国は米国に限定されない。また、存立危機、武力攻撃とはどのような武力攻撃のことなのか。何を基準にして他に適当な手段がなく、事態に対処するため、武力の行使が必要と認めるかなどあいまいだ。そして、この攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使が、どの程度のものであれば、事態に応じ合理的に必要と判断される限度にとどまるかなど、使われている概念が極めて漠然としており、その範囲は不明確だ。個別的自衛権行使を念頭に置いた今までの自衛権発動の3要件が、曲がりなりにも有していた要件の明確性、限定性が、存立危機事態を含む自衛の措置の3要件になったことで失われてしまったと判断せざるを得ない。存立危機事態対処は歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねず、憲法9条に反するものだと考える。