美の扉

昭和の名建築を歩く 中銀カプセルタワービル メタボリズムの夢…まだ途上

【美の扉】昭和の名建築を歩く 中銀カプセルタワービル メタボリズムの夢…まだ途上
【美の扉】昭和の名建築を歩く 中銀カプセルタワービル メタボリズムの夢…まだ途上
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 東京・銀座の端っこに、異彩を放つレトロフューチャーなビルがある。中銀(なかぎん)カプセルタワービル。世界で初めて実用化されたカプセル集合住宅という。昭和47年完成だから築43年。外観は黒くすすけているが、リズミカルに組まれたユニットひとつひとつがポコポコ動き出しそうな気がして、妙にワクワクする。

 設計者の黒川紀章(1934~2007年)は実際、「動く建築」を志向していた。昭和30年代半ばから、建築批評家の川添登や建築家の菊竹清訓(きよのり)らとともに建築運動「メタボリズム(新陳代謝)」を展開。建築や都市のパーツを置き換えることで、生物のように有機的に成長するイメージを世界に発信した。

 さらに44年、黒川は「カプセル宣言」を発表し、カプセルを「ホモ・モーベンス-動民のための住まい」と定義。農村から都市部へ移動した人々は「より自由に動ける機会と手段を持つこと」に価値を見いだすと予測し、土地(不動産)から解放された動く建築、ユーザーとともに変化成長する建築を提案した。ビジネスマンのセカンドハウスを目指した中銀カプセルタワーはいわば、メタボリズムの象徴であり、貴重なコンセプトモデルなのだ。

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