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日本政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦した「明治日本の産業革命遺産」の登録審査をめぐり、韓国側が外相会談での合意を無視し、審査で「強制労働」を声明に盛り込もうとしたことに対し、日本が合意破棄を迫って韓国発言を合意通りに修正させていたことが10日、分かった。複数の政府筋が明らかにした。怒号も飛び交う激しい交渉の末、世界文化遺産の登録は実現したが、韓国側が仕掛けようとした不実な宣伝戦は日韓両国間に大きなしこりを残した。交渉の内幕を追う。
「自らのミスは自分で収束してこい」
6月30日、首相官邸。首相の安倍晋三は交渉責任者である外務省外務審議官の杉山晋輔にこう指示を出した。韓国が、杉山が調整し遺産登録への協力で合意した6月21日の外相会談から態度を豹変(ひょうへん)させたからだ。
韓国は、一部施設で働いていた朝鮮半島出身者に関する「forced labor(強制労働)」との文言を、2カ所で明記した世界遺産委員会での韓国声明案を伝達してきていた。
寝耳に水の外務省は、すぐに官邸に報告した。官邸首脳陣は「韓国に嘘をつかれた」と激怒した。