経済インサイド

大和魂ここにあり! 「巨人アップル」との特許訴訟 一歩も引かぬ中小企業のオヤジ

 アップル側はこの訴訟について、コメントしていない。

 ただ、島野の社員に共同特許にしてくれるように働きかける一方、無効審判を起こすという戦術は整合性を欠き、巨人アップルの焦りすら感じられる。

 島野の船木社長は、「企業規模の大小は関係なく、お互いが利益を追求するのが(パートナーシップの)本来の姿。間違ったことをしたのだから謝ってもらわなくてはならない」と強調している。

 アップルによる特許侵害では、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」に使用されている円形の操作盤をめぐって、日本のソフトウエア技術者が提訴。知財高裁は14年4月、1審東京地裁判決に続きアップルに約3億3600万円の支払いを命じた例がある。

苛烈な下請け対応

 取引量の大きさを背景に、アップルが下請けに対して苛烈な対応をしている事例は度々、話題になる。島野以外の部品メーカーからも「人の技術を盗んでヒット商品を産み出している」(幹部)と、アップルのビジネスモデルへの厳しい指摘が上がるほどだ。アップルは自社工場を持たず、世界中の取引先と関係を深めてサプライチェーンを構築する手法を取るだけに、日本の中小企業がものづくりの意地を原動力に起こした裁判の行方が、世界戦略に影響を与える可能性がある。(高橋寛次)

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