しかし、アップルは2012年、島野への発注を減らし、アジアの企業からも供給を受けるようにした。この企業が島野の特許を侵害していたという。島野は今年6月、この企業に対し販売の差し止め請求に踏み切った。従わなければ追加の措置を取る可能性があるという。
また、特許を持っている島野の社員に対し、アップルは今年6月までに2回、「共同特許にしてほしい」と打診してきたという。その一方で、アップルは本来登録されるべき特許ではなかったとして、特許庁に無効を請求する「無効審判」を起こしている。
公取委も関心
島野側が「独禁法違反」と主張しているのは、突然発注を止められ、再開のためにやむなく値下げ要求に応じた同社に対し、13年5月にアップルが約159万ドル(当時の1ドル=102円程度で計算すると、約1億6000万円)のリベートを求めてきたとされる問題などだ。これは値下げ前に島野から買い、アップルの在庫になっていたピンの数に、値下げ分の金額をかけた額だと言われたが、島野は支払わざるを得なかったという。島野側は、すでに販売したピンへの不当な値下げ要求で、下請けに対する「優越的地位の乱用」に当たるとしている。この問題については年内にも何らかの判断が出る見通し。公正取引委員会も関心を寄せているようだ。