米アップルを日本の中小企業、島野製作所(東京都荒川区)が昨年8月、特許権侵害と独占禁止法違反で訴えた裁判が、佳境を迎えている。アップルは特許を持つ島野の社員に、共同特許にするように働きかけたり、「特許無効審判」を提起するなど、なりふり構わぬ戦術で優位に立とうとしているという。一方の島野は6月初旬、アップルに部品を供給しているアジアの製造会社に、特許を侵害しているとして販売差し止めを請求。時価総額で世界最大の企業に対し、一歩も引かずに立ち向かっている。
一歩も引かぬ島野製作所
島野はポゴピンと呼ばれる電子機器などに使われるピンを製造。電気信号を伝えるスムーズさや耐久性に優れたピンをつくる高い技術を誇っており、10年前からアップルのノートパソコンに接続する電源アダプタ側の端子向けに供給してきた。
このピンの製造方法に関する特許が焦点になっている。島野の船木幸城社長は、「もともと誰のアイデアだったか、という点が最も重要で、それははっきりしている」と強調する。
島野によると、アップルから依頼を受けて新しいピンを開発したが、アップルは急に、自社で開発したものだと主張してきたという。島野はこれを拒否し、同社の社員の特許として認められた。