浪速風

「一炊の夢」だったのか

中国に「一炊の夢」という故事がある。身を立てようと故郷を出た唐の青年が、邯鄲(かんたん)の地で道士に枕を借りて眠る。出世して権力、財力を手に入れる夢を見るが、目覚めると炊きかけの粟飯がまだできあがっていないほどの短い時間だった。栄華ははかないという例えである。

▶これも「一炊の夢」だったのか。バブルがささやかれながらも上昇を続けていた上海市場の株価が急落した。GDP(国内総生産)2位の中国経済にブレーキがかかったのなら、影響は世界に及ぶ。余波で昨日の東京株式市場は乱高下した。中国人観光客の「爆買い」もなくなるのだろうか。

▶パニック(恐慌)はギリシャ神話の牧神パンが語源である。気まぐれで突如怒り出し、家畜を大混乱に陥れる。中国だけでなく、瀬戸際のギリシャ経済も気になる。どちらも政府が公表する成長率などの経済統計が信用できない。洋の東西で古代文明が栄えた両国が、まさか世界恐慌の引き金になるまいが。