「バーテンダーの肖像」連載100回 ムッシュ・小川さんに聞く 栃木

 ■「切り絵の制作 ライフワーク」「多くの人に感謝」

 「バーテンダーの肖像」は今回が連載100回目。宇都宮のカクテルバー「夢酒(ムッシュ)OGAWAパイプのけむり」オーナーバーテンダー、ムッシュこと小川信行さん(68)が制作した切り絵はついに100点に達した。宇都宮市を中心に県内各地、東京都内も含めて多くのバーテンダーが登場。そして小川さんの広い人脈による「番外編」も挟みながら、4年半連載が続いてきた。モノトーンの世界で、100人の顔を表現してきた小川さんに話を聞いた。

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 --バーテンダーのライバル、仲間ら100人の顔を切ってきた。きっかけと経緯は

 「もともと絵は好きだったけど、切り絵が一番性に合っていた。(神戸市出身の切り絵作家でバー評論家の)成田一徹(いってつ)さんの作品に刺激を受けた。バーのことなら、こっちは専門家。バーは暗いから、絵だと人物に焦点が合って背景がぼんやり、というのもいいけど、奥もしっかり、ボトルのラベルまで分かった方が面白い。ボトルのラベルにその人(バーテンダー)の名前を入れてみたりね。あるお客さんが、このボトルを飲みたい、なんて言ったそうだが(笑)。親しい友人から作り始めた。皆さんが快く(モデルを)引き受けてくれて、その協力なしにはできなかった」

 --番外編ではバーテンダーの仕事がさまざまな業種、関係者に支えられていることや、多くの人との絆も感じられた

 「人付き合いは下手な方ですが、自分の人間関係の全てかもしれませんね(笑)。いろいろな人に支えられてきたんですよ」

 --平成24年夏に直腸がんの手術、入院を経験し、負担が重くなったときもあった。作品のストックも底をつき、編集者としては連載打ち切りを考えたこともあった

 「ここまで来るとライフワーク。何をしても中途半端だったから何とか続けたかった。子供の時から、ノートを最初のページから最後まで使い切ったことがなくて、途中で落書きして、破いて紙飛行機にして…。ストックがあるとき、制作を休んだことがあったけど、何か物足りない。テーマが決まると、案外できるもの。チャンスを与えてくれた人に感謝しています」

 --特に宇都宮では、各店に飾られている切り絵が「カクテルの街」を象徴するものになった

 「宇都宮カクテル倶楽部があって、若い人たちがアイデアを出し合いながら街を盛り上げている。年に2回の主催イベントのほかにも、週末ごとにいろいろな場面に呼ばれてカクテルのブースを出すなどして宇都宮をPRしている。私のはその後押し。別の方面からバックアップしているだけです」

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