マンスリー将棋

初の外国人女流プロ誕生秒読み

女流3級への昇級を決め、笑顔を見せるカロリーナ・ステチェンスカさん
女流3級への昇級を決め、笑顔を見せるカロリーナ・ステチェンスカさん

 「ついにやったという感じ。早く初段になりたい」

 日本将棋連盟の女流棋士養成機関「研修会」に在籍するポーランド出身のカロリーナ・ステチェンスカさん(24)が6月28日、女流プロ棋士(女流2級)の仮資格となる女流3級への昇級を決め、笑顔で喜びを表した。10月1日から公式戦に参戦し、今後2年間で規定の成績をあげれば外国人初の女流プロ棋士になる。

 ステチェンスカさんはワルシャワ生まれ。ポーランド語に翻訳された日本の漫画「NARUTO」を読んで将棋に興味を持ち、インターネット対局で腕を磨いた。平成24年5月には海外招待選手として女流王座戦に出場。女流プロを破り、外国人アマの快挙として話題となった。

 25年には別の女流プロに勝ち、研修会に入会。その後、山梨学院大に特待生扱いで入学した。日本語と将棋を勉強して半年後に経営情報学部3年に編入、現在は4年生。この間、日本語は日常生活に困らないほど上達した。そばと回転ずしが好物で、「カレーと牛丼は自分で作れるようになりました」と、学生寮での生活を満喫している。

 研修会では、「勝てるはずの将棋で負けてしまい、帰りの電車の中で涙を流したこともありました」と振り返る。今年は女流王座戦予選でプロ2人に勝ち、本戦入り一歩手前まで行くなど着実に力を付けている。

 「外国人として初めてのプロ棋士になれたら、後に続く外国人の目標になるようにがんばりたい」(藤田昌俊)

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