【手帖】原爆写真をめぐる考察 - 産経ニュース

メインコンテンツ

手帖

原爆写真をめぐる考察

「爆心地の写真 1945-1952」
「爆心地の写真 1945-1952」

 東京・新宿のフォトグラファーズ・ギャラリーが刊行している雑誌「photographers’ gallery press」の12号(2500円+税)が、特集「爆心地の写真 1945-1952」を組んでいる。被爆直後の広島で撮影された写真を、戦後70年の節目に読み直そうとする試みだ。

 昭和20年8月6日、原爆投下の当日に新聞社のカメラマンだった松重美人氏が撮影した5枚の写真が巻頭に掲載されている。この有名な写真を囲んで、写真家や批評家、研究者たちが行った座談会を収録。倉石信乃氏は「不鮮明について」という一文も寄せた。いったい何が起きているのか、状況をまったく理解しないまま撮影された写真だった、という指摘が興味深い。

 さらに、これらを含めてどれほどの数の原爆写真が撮られたのかを調べた西本雅実氏の研究結果とインタビュー。被害写真集にして観光案内書でもあった「LIVING HIROSHIMA」(24年刊)についての論考。海外向けグラフ誌「HIROSHIMA」(同)は、内容をカラーで紹介して翻訳も付されている。写真を手掛かりに、歴史とどう向き合えるかを問う労作。〈核時代を生きる私たちは、一枚の原爆写真から多くのことをくみとれるはずだし、そうでなくてはならないだろう〉(西本氏)。刊行直後から好評を集め、創刊以来初めて増刷したという。問い合わせはギャラリー((電)03・5368・2631)へ。