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地震が生んだ神秘の光景 長野・王滝村「自然湖」

【ZOOM】地震が生んだ神秘の光景 長野・王滝村「自然湖」
【ZOOM】地震が生んだ神秘の光景 長野・王滝村「自然湖」
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 まぶしいほどの新緑と立ち枯れた木曽ヒノキが澄みわたる水面に映り込む。神秘的な光景に響く、ハルゼミやウグイスの鳴き声。昨年9月に噴火した長野岐阜県境の御嶽山(3067メートル)から南へ8キロ、長野県王滝村の「自然湖」は息をのむ美しさだった。

 1984(昭和59)年9月14日、一帯を長野県西部地震が襲った。直下型で震源の深さわずか2キロ。大きな揺れで御嶽山の南斜面などが崩壊、大規模な土石流が発生し王滝川の流れをせき止めた。自然湖は幅約100メートル、長さ約2キロに及ぶが、あくまでも川の一部とされ、正式名称はないという。

 場所によっては地震前と比べて水面が20メートルも上昇し、ヒノキが水の中で立ち枯れしたところも。独特な景観は話題を集めたものの、犠牲者が29人いたことなどから王滝村は観光スポット化に消極的だった。

 しかし、財政難などもあり新たな観光資源を求める声が高まった2004(平成16)年、地震発生20年を機に、王滝村は自然湖を舞台にカヌーツアーの運営に乗り出した。冬は零下20度まで下がり、湖面は30センチほどの氷で覆われるため、実施期間は毎年4月下旬から11月中旬。大自然を体感できる冒険として注目を集めている。

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