【アテネ=内藤泰朗】ギリシャでは5日、欧州連合(EU)との今後の関係を決める国民投票が実施される。投票では、EUが求める財政再建策を受け入れるか否かが問われる。事実上の債務不履行に陥った同国がEU案を拒否すれば、欧州の共通通貨ユーロ圏離脱に至る可能性も出てくる。最新の世論調査でも、賛成と反対がほぼ拮抗(きっこう)。世論分断のまま、国家の命運を左右する投票が行われる。
チプラス首相は3日夕、アテネ中心部の集会で「欧州の脅迫にオヒ(ギリシャ語でノーの意味)を」と述べ、一層の緊縮財政を求めるEU案に反対票を投じるよう訴えた。さらに「正義はわれわれにあり、オヒはギリシャの尊厳と欧州を守る」と訴えると、参加者は「オヒ」の連呼で応えた。
EU側は反対票はギリシャのユーロ圏離脱につながる可能性があると警告しているが、チプラス氏はユーロ圏離脱の問題は関係がないと国民に訴えている。
世論調査会社アルコは3日、賛成が41・7%と、数日前まで優勢だった反対を逆転して0・6ポイントリードしたと発表した。ギリシャの民間テレビが賛成支持の姿勢を明確にしたことや、EUからの資金供給が止まって銀行の現金が不足し、市民生活を直撃していることが世論の動向に影響しているとみられる。
ただ賛否が拮抗する状態に変わりはない。同調査で決めていないと回答した10・7%の人々が、結果を左右することになりそうだ。