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一人一人症状が異なる認知症の人とその家族の経験を集め、誰にでも当てはめやすい形式で40個の「工夫」にまとめた本が出版された。建築や街のデザインの問題を専門知識がなくても理解できるよう共通言語化する手法「パターン・ランゲージ」を認知症に応用。人によって違う幻覚や妄想の症状に対応するための工夫を「見えている世界」と名付けるなど、多くの人が問題や解決方法を共有するためのツールとして活用できるようにした。(寺田理恵)
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問題点と解決方法
本のタイトルは「旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント」(丸善出版)。井庭(いば)崇慶応大准教授の研究室と企業や自治体、NPOなどのネットワーク「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)」が制作した。
認知症の当事者や家族ら20人へのインタビューと実際の事例を基に、問題点と解決方法を40個に分類し、「状況・問題・解決」の順序で記述、それぞれに名前を付けた。その名前は、本人や家族、周囲の人が認知症とともに生きるための「工夫」を表す。