命の危険もある。80代の男性が包装シートの誤飲が原因で消化管から出血、出血性ショックのため死亡したケースが報告されている。
大原部長は「誤飲は、テレビを見ながらなど注意力が散漫になっているときに起こりやすい。日常的に薬を飲む人は誤飲で重大な健康被害となる危険性があることを認識してほしい」と呼び掛けている。
新包装登場
厚労省は22年、PTP包装の誤飲事故に対する警告と包装技術の改善要望を業界団体に出した。事故防止に向け、日本製薬団体連合会(東京都中央区)は、誤飲しにくい構造や飲み込んでも体への負担が少ない包装シートに変更できないか検討中だ。
こうした中、包装ごと飲み込んでも体内を傷付けない新包装が開発された。
モリモト医薬(大阪市西淀川区)は、軟らかいフィルム製で、誤飲してもそのまま排泄(はいせつ)される新しい包装を考案した。枝豆をさやから取り出すように軽く圧力をかけると、シールが剥がれ、錠剤が取り出せるため、高齢者にも使いやすいという。
同社の盛本修司社長は「高齢化が進む中、認知症患者も増えており、誤飲の危険性が高まっている。事故の防止に役立てば」と話し、量産・普及に向けた準備を進めている。