相次ぐ薬の包装誤飲事故 切り離しシートで損傷

 そのまま飲み込むと、角の部分がのどや食道、腸などを傷付ける恐れがある。かつては縦横にそれぞれミシン目が入っており、1錠ずつ切り離せる構造だった。だが、錠剤と一緒に誤飲する事故の多発を受け、製薬各社は平成8年、シートを1錠ずつ切り離せないようにする防止策をとった。

 それでも事故は後を絶たず、国民生活センターは10年と22年に「錠剤の包装シートは切らないで」と注意喚起している。

死亡例も

 埼玉医科大が17年から21年の4年間に消化管の異物の除去を目的に緊急内視鏡処置を行った83件について調査したところ、消化管内を傷付ける可能性がある「鋭的異物」の約4割が薬の包装シートだった。

 名古屋市立大学病院総合内科・総合診療科の大原弘隆部長は「今も一定の割合で事故は起きている。正確な統計はないが、600床程度の規模の病院で年に3、4件あるのではないか」とみる。

 大原部長が診察した患者の中には、包装シートの角が食道の粘膜に突き刺さり、3分の1ほど埋まっていた人もいた。食道は肺や心臓に近く、食道の粘膜の傷が原因で胸部に膿がたまる縦隔炎を発症するリスクもあるという。

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