福島第1原発

徹底解説!廃炉が遅れる真の理由(上) 作業員事故死、下がらぬ放射線量

【福島第1原発】徹底解説!廃炉が遅れる真の理由(上) 作業員事故死、下がらぬ放射線量
【福島第1原発】徹底解説!廃炉が遅れる真の理由(上) 作業員事故死、下がらぬ放射線量
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 政府と東京電力は6月、福島第1原発の廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)を2年ぶりに改定した。原子炉建屋にある燃料貯蔵プールからの燃料取り出しを最長3年遅らせるなど、後ろ向きの内容が目立ち、故郷への帰還を願う福島の住民にマイナスのイメージを与えたかもしれない。事故から4年以上たっても、なぜしっかりとした廃炉工程が定まらないのか。なぜ今になって工程を遅らせなければならなかったのか。その真の理由を探った。(原子力取材班)

「リスク低減」へシフト

 「前例のないチャレンジが続く。安全に最大限の配慮をして廃炉を進める」

 工程表の改定を了承した6月12日の関係閣僚会議に出席した東電の広瀬直己社長は事故の謝罪を述べた上で、こう強調した。

 居合わせた閣僚も「国が前面に立つ」「風評被害対策をしっかりやる」など力を込め、廃炉への並々ならぬ決意がうかがえた。

 しかし、改定前の廃炉工程表には甘い見通しがあったといわざるをえない。

 平成23年12月に策定された工程表の改定は、25年6月以来2年ぶり3回目。今回の改定に際し、広瀬社長が「安全の配慮」に言及しなければならなかったほど、これまでは「スピード重視」が優先し、安全への配慮が十分だったかは疑問視される。

 ただ、福島の住民に早く安心感を持ってもらうためには、廃炉を早期に達成する目標は致し方ない部分もあったことも否めない。

 ところが、スピード重視は作業員の負担にもなっていた。

 今年1月には、第1原発構内でタンク(高さ約10メートル)の設置作業中に、作業員=当時(55)=が落下し死亡した。第2原発でも機材に頭を挟まれ作業員=同(48)=が死亡したため、原発での全作業をいったん中止。工程を守ることに固執して、逆に工程の遅れを招いた。