日航機墜落事故から30年 「パパの柿の木」を絵本に 夫を亡くした大阪の女性が制作

夫、正勝さんが庭に植えた柿の木を見上げる谷口真知子さん=大阪府箕面市
夫、正勝さんが庭に植えた柿の木を見上げる谷口真知子さん=大阪府箕面市

 昭和60年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故で夫を亡くした大阪府箕面市の谷口真知子さん(67)が、夫が植えた柿の木を題材に絵本の制作を進めている。「子供よろしく」と短い遺書を残し、40歳で逝った夫。残された母子で支え合い、2人の息子はそれぞれ家庭を持って父親になった。事故から今年で30年。愛する人を失った悲しみが完全に癒えることはないが、前向きに生きることで笑顔を取り戻せる日が来ることを、絵本で伝えたいという。(中井美樹)

 庭の柿の木は夫の正勝さんが事故の5年前、子供に食べさせたいと植えた。今はまだ青い実が、茂った緑の葉の合間からのぞく。

 化学工業メーカーの会社員だった正勝さんとは職場結婚。やさしい性格にひかれた。「うちの子供は世界一」が口癖で、息子2人を両脇に抱えてリビングを走り回った。目の下にはいつも笑いじわが寄っていた。

 事故は当たり前だった幸せを、あまりに突然に奪った。あの日、正勝さんは東京で上司の葬儀に参列した帰りだった。正勝さんが事故機に乗っていたと知らされた真知子さんは意識を失い、救急車で搬送された。

 「パパは僕が連れて帰ってくる」。そう言って中学1年の長男は、親族と一緒に現地へ向かった。

 テレビの画面に長男が映った。泣き崩れ、大人に両脇を抱えられていた。なんてむごいことをしてしまったのかと涙があふれた。

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