日航機墜落事故から30年 「パパの柿の木」を絵本に 夫を亡くした大阪の女性が制作

 遺書は支えになると同時に、プレッシャーにもなった。子供たちを立派に育てなければ-。思いが強すぎて手を上げたことも。「パパ、私には重すぎる」。仏壇に何度も話しかけた。

 柿は毎年、実った。夏には青々とした葉を茂らせて照りつける日差しを遮ってくれ、冬は葉を落として暖かな光を届けてくれる。「主人が家族を見守ってくれているように思えた」

 植えたとき、高さ1メートルだった柿の木は現在、2階のベランダにまで達し、2人の息子もそれぞれ結婚して孫が3人生まれた。

 「パパの遺言はなんとか果たしたかな」

 昨夏、恒例の慰霊登山に向かう途中、5歳の孫から「パパのパパに会いたかった」と言われ、孫の世代にも事故や遺族の思いを伝えることが必要だと思うようになった。仕事で知り合ったアートディレクターの嶋秀樹さん(36)に話すと、絵本にすることを提案されたという。

 タイトルは「パパの柿の木」。イラストレーターの亭島(ていしま)和洋さん(39)が挿絵を担当し、真知子さんが文章をつづる。子供たちにも理解してもらえるようにと、事故当時小学3年だった次男の目線で描いた、成長する柿の木と笑顔を取り戻そうとする家族の物語だ。

会員限定記事会員サービス詳細