激闘の地・硫黄島はいま(中)

悲しき残骸 大砲の向きが物語る絶望

 取材で実際に見た大砲は2門だけだが、鋼鉄の塊は守りの堅さを実感させる。しかし、米軍が上陸した海岸は、見渡す限り米軍の艦船などで埋め尽くされていたという。それを眺めていた日本軍の兵士たちの絶望はいかばかりだろうかと、おもんぱかった。

米軍の名戦車も

 島に残っている兵器は大砲だけではない。

 島の中央部にある海上自衛隊と航空自衛隊の基地の外れには、米軍が戦いに投入した中戦車「M4シャーマン」の残骸がある。

 全体はびっしりと赤さびに覆われているが、車体の左右はコンクリートで装甲が補強されている。外観はほとんどそのままで、上部のハッチから中に入ることもできそうだ。

 シャーマンは島の南側から上陸した後、守備隊の司令部があった北東部に向けて進軍した。途中には、火山活動が活発な硫黄島の特徴でもある地表に大量の硫黄が露出した「硫黄が丘」と呼ばれる場所がある。地熱が高く、常に噴煙のような煙が上がっていて、かなり起伏が大きい。

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