東京地検特捜部から政治資金規正法違反容疑で強制捜査を受けている政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)の高木幹正会長(70)が6月18日、歯科医師の業界団体「日本歯科医師会」の会長に選出された。次期会長をめぐっては業界を二分する仁義なき戦いが繰り広げられ、今回の「迂回(うかい)献金」疑惑発覚は「高木陣営へのネガティブキャンペーン」(日歯連幹部)との見方も。お家騒動の背景には、平成16年に業界を揺るがした「ヤミ献金事件」から続く確執もあるようだ。
捜査に揺れた会長選
「出席代議員数139名、高木幹正君、83票」
18日、東京都千代田区の歯科医師会館で開かれた全国から歯科医師の代表者が集まる代議員会。議長が高木氏の得票数を読み上げた瞬間、会場内が「おお」と、どよめいた。高木氏を次期会長とする人事案が過半数で承認され、半年近く続いた騒動が幕引きとなった瞬間だった。
歯科医師会は今年2月、退任表明していた大久保満男会長(73)の後任を選ぶ予備選挙を行い、高木氏は630票中346票を得て、大阪府歯科医師会長の太田謙司氏(64)を破って当選していた。
その後、事態は思わぬ方向へ動き出す。日歯連が25年、石井みどり参院議員(66)=自民=の後援会へ、西村正美参院議員(51)=民主=の後援会を経由するなどして、政治資金規正法の上限額を超える計9500万円を寄付した疑いが浮上。東京地検が4月、強制捜査に乗り出したことで高木氏の会長就任を危ぶむ声が噴出した。