中谷氏 まず申し上げるが、米国を防衛するということではなく、わが国を守っている米艦を守るということ。限定的集団的自衛権はあくまでもわが国を守るという意味で、他国の防衛を目的とする集団的自衛権までは憲法上、認めていない。
首相 先ほど、私の本を引用されました。血の同盟、まさに軍事同盟だから若い兵士が命をかけるのは事実であります。だが、われわれが米国を守るために命をかけることはないというのは、その本に述べている通りだ。限定的な武力の行使だから外国から攻撃を受けないなんて一言も言ったことないですよ。辻元さん。それは違う。武力の行使をするのだから覚悟を持って武力の行使をする。なぜ武力の行使をするかといったら、国の存立が危うくなるから。国民の命が危うくなるから。私たちが享受している自由や幸福追求の権利が根底から覆されるからこそ、覚悟して武力行使する。
当然相手も武力行使されたら、反撃してくることもありますが、その点においては、そういう状況になっていることだし、中谷大臣が答弁したように、いきなり潜水艦を沈める行為をすることはあり得ないんですよ。3要件を満たさねばならない。例えば、ある国が「日本を火の海にする」と言い、ミサイルを日本に撃ち込む準備が整ってきており、艦艇出撃の準備も始めているという切迫した状況において、どう判断していくかということになる。そういう中において、米艦艇を攻撃するかもしれない、あるいは攻撃したという潜水艦に対しては、そういう3要件がそろえば、われわれは集団的自衛権の行使をするということになる。まったくわが国の安全に関係ないのに、米国の戦争相手の国の艦船を沈めることはない、ということはご理解いただきたい。
辻元氏 結局、日本で限定と言っていても、実際の現場に行けば、戦争に参画するということなんですよ。総理は「巻き込まれることはない」「戦後、安保条約を締結しても戦争に巻き込まれてこなかった」と岡田さんとの議論でおっしゃった。しかし、それは集団的自衛権の行使を認めてこなかったからだと思う。朝鮮戦争のとき、米艦防護だといっても、戦争に巻き込まれなかったという保証はあるか。わが国が攻撃されそうだからといっても(武力行使したら)ダメですよ、というのが日本の国だった。戦争という世界に行くドアにはカギがかかっていて、カギを外せるのは国民だけだった。そのドアを総理大臣がけ破っていこうとしているから憲法違反といわれているのではないか。その向こうは戦争の世界なんですよ。