6月22日は日韓国交正常化50周年記念日だった。わが家の近くに韓国大使館文化院があるためか、先週末から周辺の警備が厳しくなった。韓国外相が訪日しているからだろう。何はともあれ、両国指導者が胸襟を開いて話し合えることは喜ばしい。幸い今回は世界文化遺産問題で前進が見られたが、この先どうなるのだろう、一抹の不安がよぎる。理由は朝鮮半島に住む人々が「一貫性」よりも「バランス」を志向する傾向があると感じているためだ。
日清戦争直後の朝鮮半島では清朝を見限った親日「改革派」の勢いが強かった。「三国干渉」後、日本が後退すると、朝鮮王室は列強同士の牽制(けんせい)を通じた独立維持を志向し、帝政ロシアに接近する。一時は親露「保守派」が高宗をロシア公使館に移し、政権を奪取したが、これには「独立派」が反発、王室は親露姿勢を修正する。日露戦争後は「改革派」が独自改革を断念し、日韓併合を推進するが、これには特権を奪われた両班(ヤンバン)などが反発、朝鮮独立運動が始まる。何とも目まぐるしい動きだ。