■ネット沸騰「硬派だ」「格好よすぎる」
JR九州の有志でつくる応援団「JR九州桜燕(おうえん)隊」が、札幌市で開かれた「YOSAKOI(よさこい)ソーラン祭り」(今月10~14日)で初出場ながら大賞に輝いた。車掌の制服をイメージした衣装と、切れのある動きの様子が動画サイトにアップされると「なんだこのカッコよさ!」「硬派だ」と評判を呼ぶ。桜燕隊の隊長は「九州の元気を全国に届けたい」と張り切っている。(村上智博)
桜燕隊は平成23年の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に合わせ、「地域住民の輪に入り、沿線を盛り上げよう」と、当時社長だった唐池恒二会長の肝煎りで発足した。社内で有志を募り、名称は新幹線の「さくら」と「つばめ」から取った。
高知発祥で最近、全国各地に広まった「よさこい」を踊ることを決めた。鉄道会社らしく、演舞には「指さし確認」や「敬礼」を取り入れた。衣装も列車や車輪をあしらった。
メンバーは駅員、車掌、運転士、客室乗務員らと、日頃は別々の部署で勤務している。毎週水曜を練習日としているが、365日休みなく稼働している鉄道会社だけに、全員が集まることは難しい。それでも、徐々に評判を呼び、九州各地の祭りに呼ばれるようになってきたという。
今年は4月に福岡県太宰府市の「門前真舞祭」や鹿児島市の「かごしま春祭大ハンヤ」と2つの祭りに出場した。自信をつけ、札幌の「YOSAKOIまつり」への出場を決めた。
練習不足は否めないが、隊長の岩永一樹氏(28)は「出るからには大賞に挑戦しよう」とメンバーを鼓舞した。
本番当日、桜燕隊初代隊長も務めた原槙義之氏(39)が切り口上で「繋(けい)」「星(せい)」「人(じん)」と声を張り上げる。「九州7県を1つにつなぐ」との意味が込められている。その後、「7つの夢をかなえに行こう。すべての笑顔を運ぼう。鉄路に乗せて」との歌詞に合わせ、メンバーは力強く踊った。
結果、40人未満のチーム部門で、トップにあたる大賞に選ばれた。原槙氏は「正直驚いたが、日本人らしい威勢の良さ、かっこよさが評価されたのではないか」と語った。
ネット上でも高い評価を得た。動画サイトには「応援団のような硬派な衣装がカッコイイ」「普段からこの衣装で仕事してほしい」「九州でよかった」などのコメントが寄せられた。
桜燕隊は今後、10月の「ふくこいアジア祭り」(福岡市)と「YOSAKOIさせぼ祭り」(長崎県佐世保市)に出場する。来年には佐賀、宮崎両県の祭りに出ることも予定されている。
岩永氏は「わたしたちは九州の応援団です。いつでもどこでも、呼んでほしい。皆さんの笑顔が見たい」と語った。