日本と韓国の間で歴史問題の新たな火種となっていた世界文化遺産に登録される見通しの「明治日本の産業革命遺産」(福岡など8県)について、21日に都内で開かれた日韓外相会談で、反対していた韓国が一転、協力することを約束した。韓国側も登録を目指す案件があり、双方が協力することで一応の決着をみた。ただ、世界遺産委員国を巻き込んだこれまでの韓国の反対攻勢は執拗だった。
「日本は下品なことはしない。国連教育科学文化機関(ユネスコ)を対立をつくるような場にするのはいかがなものか…」
日本がユネスコ世界遺産委員会の委員国に外務副大臣らを「特使」として派遣すると、韓国は後を追うように尹炳世外相を派遣。むきだしの対抗措置に日本の外務省幹部は吐き捨てるように、そう語った。
韓国が何かにつけて歴史問題で日本の行動に反発するのは、もはや恒例になりつつある。ただ、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染者が拡大し、朴槿恵大統領が訪米を延期するほど深刻な最中でも、尹氏が世界遺産委員会の議長国ドイツ、副議長国のクロアチアを相次いで訪問し、反対をアピールするのはさすがに奇異に映る。
韓国側の反対理由は、登録対象施設の一部で強制徴用された朝鮮半島出身者が働かされていたということだ。韓国は「負の遺産で、人類の普遍的な価値を持つ遺産を保護するという世界遺産条約の基本精神に違反している」と主張する。
もともと日本側は世界遺産に推薦するにあたり、登録対象時期を「1850年代から(日韓併合の)1910年まで」としており、韓国の言う批判は的外れだとの立場だ。