交通アクセスの良い立地条件などを理由に、都会に住む人たちの注目を集める納骨堂。新たなお墓のスタイルとして定着しつつあるが、住宅街に建てられる納骨堂を巡り、住民とのトラブルも起きている。そんなトラブルを防ごうと、東京都調布市は「墓地等の経営の許可等に関する条例」の一部を改正する方針を固めた。従来の条例では礼拝施設があれば納骨堂を設置できるとしているが、改正案では設置場所での5年以上の礼拝活動の実績が必要なことなどが盛り込まれる。
オフィスビルが納骨堂に
納骨堂検索サイト「納骨堂info」によると、納骨堂は昭和初期に一時的に遺骨を収蔵する施設として、境内の片隅に建てられていた。しかし、その後は恒久的に遺骨を祭る施設としての役割も担うようになった。当初はシンプルな棚式などが中心だったが、40年代以降になると仏壇型などグレードの高いものも作られ始めた。
調布市によると、新しい条例案には5年以上の礼拝活動実績を持つ施設であることを納骨堂の適合基準に加えるほか、構造設置基準として、新たに駐車場の設置を加える。また、防犯上の対策として、管理者に警備員の配置などを求めるとしている。市は年内の条例改正を目指している。
市が条例の改正の検討に乗り出した背景には、同市調布ケ丘の住宅街に設置が予定されている納骨堂を巡る住民と事業者側とのトラブルがある。昨年末にマンションなどが立ち並ぶ一角の4階建てのオフィスビルを納骨堂にする計画が急遽(きゅうきょ)、浮上した。納骨堂では葬儀も行われるなどとして、住民側は計画の廃止を事業者側に求めている。