■憧れの曽祖父…蓄積の時
今、自宅の僕の部屋に飾っているお宝は曽祖父(六代目尾上菊五郎)の菊の蒔絵(まきえ)入りのキセルです。曽祖父にあこがれるあまり、祖母を訪ねては遺品や写真をもらいました。文化勲章だけ、もらい損ねました(笑)。
祖母も「舞台の上では人が違ったように気が短かった」「踊りのお稽古を裸でやっていた」などと思い出話を聞かせてくれました。実際に会ってみたかったですね。曽祖父の素晴らしさって結局、演技や踊りからにじみ出る人間性の高さ。映像の中の曽祖父と初めて出会った3歳のときの僕も、子供心にそこに圧倒されたのだと思います。
曽祖父は立役(たちやく)と女形、両方しました。両方やれるからこそ、「忠臣蔵」の七段目で曽祖父が工夫し、今も残っている型があります。僕もどちらもやらせていただきたい。普段は女形のお役が多いので、7月に国立劇場(東京・隼町)の「義経千本桜」で入江丹蔵ができるのは楽しみですね。