「悲劇をいかにコメディーにするか」…わかぎゑふの新作来月1日から 「ひとり、独りの遊戯」

「演劇ならではの手法で、社会の小さな闇をコメディーで描きたい」と話すわかぎゑふ
「演劇ならではの手法で、社会の小さな闇をコメディーで描きたい」と話すわかぎゑふ

 「大阪で育った私の子供時代は、日常生活にさりげない差別が転がっていた。そんな小さな闇をコメディーとして書きたかった」

 劇作家で女優、わかぎゑふ(56)が座長を務める劇団「リリパットアーミーII」が7月1日から、下北沢ザ・スズナリ(東京・世田谷)で新作「ひとり、独りの遊戯」(わかぎ作・演出)を上演する。来年は劇団創立30年に当たるが、節目を前に「これだけ好きに書けた作品はない」と、吹っ切れた表情を見せる。

 主人公は戦前、日本人と朝鮮人の間に生まれ、13歳までは女性だったという人物。大陸で身を守るために男となり、日本帰国後はヤクザ稼業に手を染める-という型破りの生涯を死の床で、回想形式でたどる。時代も海も超えるスケールの大きな3幕を人形も使って、演劇ならではの手法で表現する。

 「モデルは特にないです。ただ、これまで戯曲に反映できなかった、戦前戦後のさまざまなエピソードを積み重ね、当時の混乱を描きたかったんです」

 それは、大阪万国博覧会(昭和45年)を境に、国際都市を目指すため、蓋をされてしまった戦争の傷痕や差別の記憶への違和感が根底にあるという。これまでも被差別部落や妾文化など社会の闇を物語にさりげなく潜ませてきたが、今回は喜劇にして正面から向き合った。「悲劇をいかにコメディーにするか」という挑戦の舞台である。

 8日まで。玉造小劇店(電)06・6944・3380。(飯塚友子)

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