豪雨時などに奈良県が県内の雨量や土砂災害の発生危険度などをインターネット上で発信する「奈良県土砂災害・防災情報システム」が、一部のブラウザー(閲覧ソフト)以外は見られない状態になっていることが17日、分かった。県は平成25年8月に把握したのに対策を取っておらず、住民の命を守るための情報システムの欠陥が約2年間も放置されていたことになる。
同システムは21年度から運用を開始。土砂災害発生の危険性が高まった際、市町村の避難勧告や住民の自主避難の判断基準にしてもらうのが目的で、県内の雨量情報や2時間後までの土砂災害危険度予測が色分けで表示される。
県砂防・災害対策課によると、システムを閲覧できるブラウザーは米マイクロソフトの「インターネット・エクスプローラー(IE)」で、米グーグルの「クローム」などIE以外の多くのブラウザーには対応していない。また、災害時には多くの県民が利用するとみられるスマートフォンでも基本的に閲覧できないという。
25年8月、当時の担当職員が自宅のパソコンで閲覧しようとしたが画面が表示されず、欠陥が判明。だが同課は、開発したシステム会社に伝えるなどの対策も取らず放置。昨夏には、県内の3市村から「閲覧できない」と問い合わせがあったが、閲覧可能なブラウザーを伝えただけだった。