阿比留瑠比の極言御免

民主政権に甘かった憲法学者 「憲法解釈は政治性を帯びる」憲法の専門家を無視したのは民主党のはず?

 また、菅氏は21年11月の参院内閣委では憲法の三権分立の原則も否定し、「これまでの憲法解釈は間違っている」とも述べている。

 そもそも「政治主導」を掲げた民主党政権は、学者の意見に耳を傾けるどころか野田佳彦内閣の途中まで内閣法制局長官の国会答弁すら認めず、代わりに法令解釈担当相を置いていた。

 「憲法解釈を専門家の指摘も無視して、一方的に都合よく否定するという姿勢は、法の支配とは対極そのものだ」

 民主党の枝野幸男幹事長は今月11日の衆院憲法審査会でこう主張した。とはいえ、鳩山由紀夫内閣で法令解釈担当相を務めた枝野氏は、22年6月の朝日新聞のインタビューでは「行政における憲法の解釈は恣(し)意(い)的に変わってはいけないが、間違った解釈を是正することはあり得る」とも語っていた。

 また、菅内閣で法令解釈担当相に就いた仙谷由人元官房長官も就任時の記者会見でこう明言している。

 「憲法解釈は政治性を帯びざるを得ない。その時点で内閣が責任を持った憲法解釈を国民、国会に提示するのが最も妥当な道だ」

 だが当時、憲法学者らが民主党政権への危機感に駆られ、強い批判の声を上げたという事例は、寡聞にして知らない。メディアもおおむね民主党政権の「政治主導」には優しかった。

会員限定記事会員サービス詳細