主張

ドローン立法 規制と育成のバランスを

 夜間飛行の禁止、住宅密集地は事業者限定とするなど「官邸ドローン事件」を受けた規制の内容が具体化している。

 政府は今国会で航空法の改正を目指す。国民の不安をあおり、重大なテロにもつながるような行為は阻止しなければならない。必要な法整備を急いでもらいたい。

 ただ、大きな可能性を持つドローンの健全な発展を忘れてはならない。法規制でがんじがらめにならないよう、民間側も自主的ルール作りに取り組み、安全性や信頼性を確保する必要がある。

 政府の作業と並行し、国会でも自民、公明、維新、次世代の4党が、重要施設の上空を飛行禁止にする法案を共同提出した。

 首相官邸や皇居、国会や官庁街などの上空と周囲約300メートルを禁止区域とする内容だ。違反者には1年以下の懲役か50万円以下の罰金も科す。

 基本的には必要な措置といえるが、規制範囲を広くとり、一律に禁止する方法には問題がある。法案は行政機関の業務など一部の例外を除き原則禁止となっており、報道や学術など国民の利益につながる用途が封じられかねない。非常時には、国民への情報伝達手段になることも考えるべきだ。

 日本民間放送連盟(民放連)の報道委員会は、こうした規制が拙速に設けられることへの憂慮を表明している。

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