不当解雇の金銭解決 経営と労組で賛否、規制改革会議答申

 政府の規制改革会議は16日の答申で、不当解雇と判断された際、労働者から申し立てがあれば金銭補償で解決する制度の導入に向けて有識者による会議の新設を盛り込んだ。解決金制度をめぐっては、「紛争解決に向けた選択肢が増える」と歓迎する経営側と「運用によっては簡単に解雇できる仕組みになる」と反対する労働組合側が対立してきた。労使双方が納得する補償金の基準や制度の乱用防止策など、有識者会議の取り組む課題は大きい。

 今回の解決金制度は、裁判で解雇が不当だと認められた後に、労働者が退職を申し出た場合に金銭で補償する「事後型」だ。裁判を行わず、企業側が支払いを条件に解雇を実施する「事前型」は解雇の乱用の懸念が強いとして、対象外になっている。

 労働者は、裁判で不当解雇が認められても、会社との信頼関係が損なわれており、職場復帰は現実的には難しい。退職を選択しても、補償金を受け取れなかったり少額だったりすることが多い。補償金で解決するルールを明確にし、労働者の泣き寝入りを防ぐなどの狙いがある。

 経済同友会の小林喜光代表幹事は16日の記者会見で「(紛争解決の)予見が可能になり、前向きに捉えていい」と評価した。

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