浪速風

串カツには「大阪の思想」がある

串カツ店「松葉」=平成26年9月、大阪市北区(村本聡撮影)
串カツ店「松葉」=平成26年9月、大阪市北区(村本聡撮影)

串カツのソースの「二度づけお断り」は大阪の思想のようなものである、と江弘毅さんが「街場の大阪論」(新潮文庫)に書いていた。「知らない客と客が隣り合わせ、あるいはカウンターを挟んで店側と知らない客が対峙(たいじ)する。その際、お互いにイヤな思いをせず、すんなりうまいものにありつきたい」

▶混んでいると客が少しずつ横にずれ、空いたスペースに斜めに体を入れる。往年の人気コーラスグループ、ダークダックスのポーズになる。人のふり見て公共の場でのふるまいを身につける。それが大阪である。名物串カツ店が大阪駅前地下道の拡幅工事に伴ってなくなりそうだ。

▶戦後、地下道の環境改善のため、大阪市が格安の占有料で許可を出した。強制撤去は穏やかではないが、街が変わるのは時代の流れで仕方あるまい。ただ「大阪の思想」は残しておきたい。もうちょっとソースをつけたいときは「キャベツですくって取り皿に落とす」。ご存じですか。