討論

救急車は有料化すべきか

 --有料化した場合、重症患者が我慢してしまう事態も増えかねない

 「そういう問題は起こりうる。しかし反問したいが、それならなぜ有効であるはずの予防接種は有料なのか。そこで数千円を徴収していて、なぜ救急車が有料ではいけないのか。予防接種で命が救えるのなら、救急車と同様に無料にするのが筋ではないのか、と思う。収入にかかわりなく、一定額を徴収する予防接種のほうがはるかに不公平だ」

 --フランスでは重症患者以外の搬送に約3万円など、海外では有料化している例も多い

 「3万円でもいいと思うが、払い戻す仕組みは作っておいたほうがいい。複数の医師が『この人は救急車が必要だった』と判断すれば無料にする。重症者は無料、というのは大事なことで当たり前だ。そして、救急搬送に疑義を呈する医師がいた場合には、記入に1時間かかる書類を書かせた上で無料にする。こうすれば、高収入の人は素直に払うし、低収入の人は記入して無料になる仕組みだ。まず有料という建前を作っておき、その上で払い戻すシステムにすべきだろう。一律で無償という制度は、これまではよかったかもしれないが、性善説に立つのももはや限界ではないか」

 --無料のままで救急車・救急隊員を増やすという選択肢もありそうだ

 「国民の総意で、新幹線の建設や五輪開催の費用を削って救急車を増やすという判断もあっていい。消費税率を上げる選択肢もある。救急車を増やすためには、何かを犠牲にする必要がある。有料化の議論が、国民が考える材料になればいい。私としては、有料化に賛成しない理由はない」

 〈にいみ・まさのり〉昭和34年、京都府生まれ。56歳。慶応大医学部卒。英オックスフォード大留学をへて、平成10年から帝京大医学部外科に勤務。25年、イグ・ノーベル賞を受賞した。

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