正論

集団的自衛権は違憲といえるか 駒沢大学名誉教授・西修

 なぜ、集団的自衛権が国連憲章に入れられているのか。それは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアおよび中国の5大国が拒否権をもっている集団安全保障体制だけでは、自国の防衛を期待できないからである。現在の集団安全保障体制では、ある国が国連憲章に反するような行為を行えば、最終的には軍事的措置を講じることができるが、そのためには上記5カ国のすべてを含む安全保障理事国15カ国のうち、9カ国の賛成が必要である。とくに常任理事国5カ国中、いずれか1カ国でも反対すれば、効果的な措置をとることができない。そんな間隙を埋めるための有効な措置として存在するのが集団的自衛権なのである。

 今日、北大西洋条約や、米州相互援助条約などの多国間条約をはじめ、米韓相互防衛条約、米フィリピン相互防衛条約などの2国間条約などが張りめぐらされ、自国防衛の用に供している。

 《国家存立のために必要な措置》

 日本国憲法は、自衛権の行使を否定していない。このことは、政府が日本国憲法の制定以来、言い続けてきたことだ。また、昭和34年12月16日の砂川事件に対する最高裁判所大法廷判決は、次のように明言している。「わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないのである。(中略)わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。(中略)憲法九条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを、何ら禁ずるものではないのである」

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