チンパンジーにも人権があるのか?米NY裁判所で不当拘束訴え クジラ、イルカ問題への波及も…

 チンパンジーは「ヒト」か、それとも「モノ」か?-。ニューヨークで米国史上初めての裁判が行われている。訴えたのは研究機関の「所有物」として飼育されているチンパンジーの「ヘラクレス」と「レオ」。5月、マンハッタンの州地方裁判所で公判が開かれ、チンパンジーの代理人となった市民団体の代表が、人間の自由を保障した人身保護法を盾に、2匹は不当に拘束されているとして解放するよう訴えた。動物愛護運動の盛んな米国では、知性の高い動物には人間と同等の権利を認めるべきとする市民団体が、積極的な活動を展開。賢いクジラやイルカも捕獲すべきではないとし、過激団体シー・シェパードなどの組織の動員力、資金を運動に寄付する気運の源にもなっている。(佐々木正明)

 ニューヨークで行われている裁判の結果は、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁に端を発し、国際的にも脚光を浴びた動物園や水族館問題の論争にも影響を与えそうだ。なぜなら、こうした動物愛護団体は「人間の横暴な営み」により生き物を、檻(おり)の中に閉じ込めるのは倫理道徳的に許されないとして、全ての動物園や水族館を廃止すべきと主張しているからだ。

 ニューヨークの裁判所に訴えたのは米国の市民団体「ノンヒューマン・ライツ・プロジェクト」。人類は、地球上の動物たちにも幸せに生きるための基本的な権利を認めるべきと主張しており、チンパンジーなどの霊長類のほか、知性が高く、仲間意識や、複雑な感情を有しているとされるイルカ、ゾウなども裁判に引っ張り出そうとしている。

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