宮家邦彦のWorld Watch

「ネットアセスメント」に注目せよ

 ●対象は自国と潜在的敵対国との軍事的対立・競争の本質とその長期的趨勢である

 ●目的は敵との対立・競争の長期的趨勢を敵よりも早く特定することにより、相手の長所を避け、短所を攻める準備時間を極大化することだ

 ●形式は一回限りの評価報告ではなく、常に更新される複合的分析・評価である

 ●軍事専門家に加え、政治経済、歴史文化など異なる分野の専門家の参画が不可欠だ

 ネットアセスメントを継続的に実施するには膨大な人的・財政的資源を長期間投入する必要がある。マーシャルは「正しい評価には正しい質問が必要」と説いた。ここでは対中総合戦略評価に必要と思われる「正しい質問」を列挙する。

 (1)中国政府・中国共産党の長期的目標は何か

 今中国はアヘン戦争の恨みを晴らしたいだけか、それとも全ての外国軍隊の中華圏からの放逐まで含むのか。

 (2)中国経済は人民解放軍の軍拡を支えられるのか

 敵に耐え難いコストを課す米国の戦略によりソ連は崩壊したが、中国にも同じ手法を応用すべきか。

 (3)人民解放軍の情報化戦遂行能力は米軍をしのぐのか

 中国が長距離精密攻撃能力の面で米国に追い付けば、米国の情報戦の優位は短期間で消滅するのか。

 (4)解放軍は本当に強いのか

 中国は地域覇権を「戦わず」に獲得したいのか。戦争が不可避なら、サイバーと宇宙の情報化戦で敵の急所をたたき、戦闘前に勝利することを考えているのだろうか。