浪速風

京町家に学ぶ夏涼の法

「衣替え」はよく耳にするが、京都の町家ではこの時期、「建具替え」をするという。先日亡くなったフランス文学者、杉本秀太郎さんに教えてもらった。秋から春にかけて使ってきた建具を、蔵から出した夏物に入れ替えて、家全体を夏の装いにする。「しつらえ替え」とも言う。

▶「障子ふすまをすっかり取り払って、すだれを吊し、葭戸(よしど)を立て、たたみには網代(あじろ)を敷いた夏の住居は、見るからに涼しそうである」(「洛中生息」より)。風の通りをよくして日差しをさえぎるのだが、冷房のように室内の温度が下がるわけではない。「涼しそうだということは即ち涼しいということだとかんがえる」

▶つまりは「見立て」である。京都の代表的な町家で重要文化財の「杉本家住宅」は、昭和の初めに改装した洋間以外、空調設備はない。この夏の節電に大いに参考になる。すでに梅雨入りしているが、11日は暦の上では「入梅」。近所の小さな田んぼも田植えが終わった。