正論

日本に浸透する中国の世論戦 東京国際大学教授・村井友秀

 元来、共産主義者にとって味方は各国の労働者階級であり、敵は自国を含む世界の資本家であった。しかし「中華民族の偉大な復興」という民族主義をスローガンにする現在の中国共産党政権は、民族対民族という構図で国際関係をとらえている。日本の左派も日本人であり、屈服させる日本の一部ではあるが、敵の敵は味方である。

 日本の左派と中国という国家は、左派の敵である過去の日本軍国主義と中国の敵である現在の日本を重ねることによって共闘できるという側面がある。従って、中国は日本の左派を取り込んだ形で日本という国家との競争を有利に展開しようとしている。

 《米国には機能しない日本主敵論》

 中国は米国に対しても同様の戦略をとっている。中米には日本軍国主義という共通の敵が存在し、中米は共闘できると主張している。しかし、現在の米国にとって主敵は米国の覇権を脅かす中国であり、過去の日本軍国主義ではない。中国の日本軍国主義主敵論は日本に対して効果をあげているが米国に対しては機能していない。

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