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平成32年の実用化を目指して開発中の次世代大型ロケット「H3」(仮称)。国産大型ロケット「H2A」の後継機となるが、打ち上げ能力は1・5倍、費用は約半分という高性能を誇る。これまで世界最高水準の打ち上げ成功率を誇りながら、欧州などの海外勢に市場競争で劣勢を強いられてきた日本。この秋には、つなぎとして改良型H2Aも投入されるが、H3は大きな期待を背負っている。
世界市場に「切り込み」
「海外の衛星の打ち上げ経験を積むことで、世界市場に参入する基盤を強化していく」
H2Aを打ち上げている三菱重工業の幹部は3月の会見でこう力説し、世界を視野に商業打ち上げ事業の拡大を目指す姿勢を鮮明にした。同社はカナダ企業の通信放送衛星に加え、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイからも地球観測衛星の打ち上げを3月に受注しており、国際的な認知度は高まってきた。
近年の円安が追い風になっていることに加え、ライバルのロシアが大型機プロトンの打ち上げに相次ぎ失敗していることも背景にある。H2Aは連続成功を22回に伸ばしており、同社幹部は「予定時刻通りに正確に打ち上げていることも、信頼性の向上につながっている」と話す。