【ワシントン=加納宏幸】米国のケリー国務長官、カーター国防長官は8日、米紙「USA TODAY」(電子版)に連名で論評記事を発表し、安全保障の観点から環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉合意の必要性を訴えた。中国主導による低い水準の貿易ルールが作られれば「海外における米国の影響力を損なう」としている。
論評は、米上院を可決し、下院に送られた通商交渉の権限を大統領に委ねる貿易促進権限(TPA)法案の早期可決を求める内容となっている。
ケリー、カーター両氏は、TPPが米国による同盟関係の深化や、アジア太平洋への持続的な関与を示すために重要であるとし、「今後数十年にわたり米国が地域のリーダーであることを再確認する」ためにも合意が必要だと強調。参加国の開発に資することで、暴力的過激主義の拡大を防ぐ効果もあるとした。
その一方で、両氏は中国を念頭に、TPPがアジア太平洋地域で「より開かれていない」ルールとの競争状態にあると指摘。「中国が提供するような低い水準の合意」がなされ、開放性や公正性が損なわれる可能性に警鐘を鳴らした。