【エルマウ=桑原雄尚】中国による南シナ海の岩礁埋め立てについて、先進7カ国(G7)の首脳が4月の外相会合での「懸念」表明よりもさらに踏み込み、「強い反対」を訴えた背景には、安倍晋三首相とオバマ米大統領の危機感があった。中国との経済関係から腰の引けていた欧州首脳も無視できなくなった格好だ。
米国は、南シナ海で急速に人工島を築き滑走路を建設する中国に対し、人工島に火砲が配備されたことを明らかにするなど、ここに来て圧力を強化。反発した中国側は、軍幹部が「埋め立ては軍事目的だ」と公言し、海洋進出の野心をむき出しにし始めている。
こうした動きに、各国首脳に直接訴えることができるサミットを好機と捉えた安倍首相は、東シナ海や南シナ海の現状を説明。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加表明した欧州首脳も、国際法の順守といったG7共通の価値観を踏まえれば、もはや看過できる状態ではなく、中国非難で日米に足並みをそろえる方向となった。
AIIBをめぐっても、G7は連携して対応することで一致しており、対中国でG7の結束が示された形となった。