向き合う力

文美月(11)チマチョゴリを着て臨んだ大学の卒業式

【向き合う力】文美月(11)チマチョゴリを着て臨んだ大学の卒業式
【向き合う力】文美月(11)チマチョゴリを着て臨んだ大学の卒業式
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 大阪でヘアアクセサリーの製造・販売会社を手掛ける在日コリアン3世の文美月さん(44)が22歳で迎えた大学の卒業式に選んだのは民族衣装のチマチョゴリだった。その2年前の成人式では逃げたチマチョゴリを着ることができたのも、自分自身と向き合い、在日コリアンが「自分のひとつの個性に過ぎない」と思えるようになったからだった。

“逃げた”成人式

 日本生命保険(日生、本店・大阪市中央区)の総合職に内定した後の平成5(1993)年春、私は大学卒業という「晴れの日」を迎えました。

 「何を着て出席しようか」

 そう思い巡らせているうちに、ふと、成人式のほろ苦い思い出が頭をよぎりました。

 私は、成人式には出ていません。何を着たら「自分にとって本当の晴れ着」と思えるのかが分からなかったからです。それまでの私は振り袖には縁がなく、とはいえ民族衣装のチマチョゴリも兄の結婚式で一度着ただけ。どちらを着ていいかを迷うなら、洋装で出ればいいのですが、洋装も「自分の中途半端ぶり」を表しているようで嫌だったのです。

 大学入学までは通名(通称名)だったものの、入学から本名を名乗っているので、成人式の日のときには、名字は「文」です。そのことは「消化」できていたので、チマチョゴリで堂々と行けばよかったはずです。でも、地元で行う成人式では「昔の自分」に引き戻される気がしたのです。

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