善光寺御開帳参拝者数34万人増の707万人 過去最高も財布のひも固く… 長野

 4月5日から5月31日まで行われた数えで7年に1度の善光寺御開帳の参拝者数について、同寺事務局は推計で707万人と発表した。平成21年の前回から34万人(5.06%)の増加で過去最多となった。今回は北陸新幹線の金沢延伸開業直後ということもあり、市や商工団体などでつくる「善光寺御開帳奉賛会」が掲げた参拝者数700万人以上という目標は達成された形だ。ただ、経済波及効果については、一定の成果があったものの、期待されたほどではなかったとの見方もあり、今後に課題を残した。(三宅真太郎)

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 ◆宿泊者数は増加も

 長野駅に直結するホテルメトロポリタン長野(長野市)では、期間中の4、5の両月の平均客室稼働率が、21年の前回の御開帳期間中より5・3ポイント高い89・9%になった。特に外国からの団体客は前回の6倍超にのぼったという。同ホテルの担当者は「御開帳が終わったここからが勝負。長野で宿泊してもらえるように旅行会社や地元と協力していきたい」と話す。

 また、同市のホテル国際21も4、5の両月の客室稼働率は89・2%と好調で、担当者は「ほぼ想定通りだが、新幹線延伸効果などで前回よりも増えた印象がある」としている。

 善光寺は今回の御開帳から、初の試みとして夜間に回向柱のライトアップを実施。地元商工関係者は飲食店や宿泊施設の利用増加を期待した。長野市内のホテルの多くでは確かに宿泊者数が増加したが、参拝者数の増加率を考えると、日帰りではなく、宿泊する人の割合が必ずしも増えたとはいえない状況だ。

 ◆まちへの恩恵

 長野市は期間中、表参道(中央通り)沿いで「日本一の門前町大縁日」を開催。連日さまざまな催しを繰り広げ、計約350の個人・団体から約1万5千人が参加して観光客をもてなした。メーン会場のセントラルスクゥエアには同市の推計で約31万人が来場。市の担当者は「一定数の観光客の方には表参道を歩いていただき、まちのにぎわいにもつながった」と話す。

 ただ、善光寺の仲見世通りにある土産物店の40代店主は「確かに人通りは前回より多くなった気はするが、観光客の財布のひもは固く、売り上げは特別よくなかった」という。また、権堂商店街の飲食店関係者も「前回も感じたが、御開帳での観光客増加の恩恵は受けたといえない状況だ。宿泊観光客を権堂にどう呼び込むかは引き続き課題だ」と語り、御開帳をいかに市内での物販購入や飲食などの消費拡大につなげるかは、次回も課題となりそうだ。

 ◆県内への周遊

 長野市の周辺観光地は御開帳による相乗効果を期待したものの、結果にはばらつきが出た。

 松本市の松本城では4、5の両月の有料入場者数が17万6763人に上り、21年の前回同期比で13・3%増加した。また、同市のホテルブエナビスタの客室稼働率は4月が前回同期比で8・4ポイント増、5月が1・8ポイント増となった。同ホテルの担当者は「外国人観光客の増加が主な要因とみている。松本城の桜や立山黒部アルペンルートの人気に加えて、御開帳効果もあったとは思う」と話す。

 一方、長野市に近い温泉地の戸倉上山田温泉(千曲市)は、信州観光バス(同)が同温泉発着で善光寺や長野市の戸隠、松代、小布施町をまわる周遊バスを運行するなどして宿泊客の誘客を図ったが、地元の宿泊施設からは「宿泊者数は前回御開帳と同じか少ないくらいだった」という声も出ている。千曲市観光協会の担当者は「長野駅と各観光地をつなぐ2次交通の問題などは、御開帳に限らず常に課題として考えていかなければならない」と気を引き締める。

 ◆「一定の成果あった」

 善光寺御開帳奉賛会会長の北村正博長野商工会議所会頭は産経新聞の取材に対し、707万人を記録した参拝者数について「回向柱のライトアップなど地元の取り組みの一定の成果とみている」と強調した。一方、経済波及効果については「前回以上はあったと思う」としながらも、「より高めるためには、滞在時間を延ばして宿泊してもらうことが引き続き課題になる」と指摘。「長野市内のホテルだけでは収容人数にも限界があり、周辺観光地と連携し、一体として魅力を発信していく必要がある」との考えを示した。

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