向き合う力

文美月(9)「どちらの国の方ですか?」 在日コリアン「採用ゼロ」を覆す前例になる

【向き合う力】文美月(9)「どちらの国の方ですか?」 在日コリアン「採用ゼロ」を覆す前例になる
【向き合う力】文美月(9)「どちらの国の方ですか?」 在日コリアン「採用ゼロ」を覆す前例になる
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 いまから20年以上前、就職を考え始めた文美月さん(44)は大学の就職部の担当者で告げられた説明に、愕然(がくぜん)としたという。在日コリアンをめぐる「現実」でもあったが、一方で、「前例がないなら私が前例になろう」とも決意する出来事になった。

在日コリアンで文系の人の採用はない…

 「在日コリアンで文系の人は残念ながら大企業への就職実績が大学にありません。通名(通称名)で採用されている方は、きっとたくさんいらっしゃると思うんですよ。でも、本名の方の採用となると…。ここにある資料には実績がないんです」

 ある日、在日コリアンの採用実績を聞くため、通学する同志社大学の就職部に足を運んだところ、窓口の担当者にそう説明され、衝撃を受けました。「本名の在日コリアンが大手企業に1人も就職できていない」。就職部を後にしても、そのひと言が頭の中をぐるぐると巡っていました。でも、ふと、こう考え始めたのです。

 「でもそれって、去年までの話だよね。今年どうなるかなんて誰にも分からへんよね。前例がないなら、私が例を作ればいい」

 そして、受験の3カ月前まで、担任の先生に志望校のことごとくを「否定」されていた大学受験を思い浮かべました。

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