納骨堂巡るトラブル防げ 調布市、「墓地条例」改正へ - 産経ニュース

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納骨堂巡るトラブル防げ 調布市、「墓地条例」改正へ

 住宅街に納骨堂が建てられるトラブルを防ごうと、調布市は「墓地等の経営の許可等に関する条例」の一部を改正する方針を固めた。従来の条例では礼拝施設があれば納骨堂を設置できるとしているが、空きビルなどを利用して突如、納骨堂が建てられることを防ぐため、改正案では設置場所での5年以上の礼拝活動の実績などが盛り込まれる。市は、年内の条例改正を目指す。

 市によると、条例案には5年以上の礼拝活動の実績がある施設を納骨堂の適合基準に加えるほか、構造設置基準として、新たに駐車場の設置を加える。また、防犯上の対策として、管理者に警備員の配置などを求めるとしている。

 市が条例の改正の検討に乗り出した背景には、同市調布ケ丘の住宅街に設置が予定されている納骨堂を巡る住民と事業者側とのトラブルがある。昨年末にマンションなどが立ち並ぶ一角の4階建てのオフィスビルを納骨堂にする計画が急遽(きゅうきょ)、浮上。納骨堂では葬儀も行われるなどとして、住民側は計画の廃止を事業者側に求めている。

 平成24年に市が「墓地条例」を定めた際は、平地の墓地について詳しい検討がされていたが、住宅街の納骨堂に関しては想定されていなかった。

 今回のトラブルを受け、市は納骨堂の設置において宗教法人としての活動実績などを定めている区部の条例を参考に、改正に向けた動きを進めている。

 市の担当者は「時代の流れと共に、調布でも都市部のようにマンションに近接するビルに納骨堂を建てる例が出てきた。条例改正は、今回のようなトラブルを防ぐための措置」と説明。市は近く、条例案のパブリックコメントを実施し、9月の市議会定例会に条例案を提出する考えだ。

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 ■住宅街の建設に住民困惑

 住宅街への納骨堂の設置計画をめぐっては、都内ではこれまでも住民と事業者側とのトラブルが起きている。

 文京区では平成24年、区内の寺院が納骨堂の建設計画を区に相談。しかし、計画の場所が住宅街の駐車場だったため、住民からは反対意見が多く寄せられ、計画は白紙となった。

 区はこれらの事案をきっかけに「墓地条例」の改正に乗り出し、納骨堂の設置は宗教法人施設の敷地内に限ることなどを加えた。

 今回、問題となっている調布市調布ケ丘の納骨堂の設置に反対する住民の女性は「急な話で、ビルが納骨堂になるとは思ってもいなかった。寝耳に水の話だ」と憤りを隠さない。

 市側は納骨堂設置の申請予定者である市内の寺の住職らに住民側への説明を求めており、意見交換会などが行われているが、住民側は「話し合いになっていない」としている。

 申請予定者の代理人を務める設計会社の担当者は「近隣の方から意見をうかがい、理解いただけるよう進めていきたい」とした。

 都市計画に詳しい早稲田大学の後藤春彦教授は「住民の懸念として、街のイメージの悪化と不特定多数の人の出入りなどが挙げられる」と説明。その上で、「納骨堂は終の棲家を都市部に設ける人らにニーズがある。一概に排除するのではなく、地元自治体がリーダーシップを取りながら、納骨堂が負の遺産にならないようにしていくことが大事」と述べた。(今仲信博)