関西の議論

「ならまち」が滅んでいいのか…実は2割が空き家「町家バンク」ふるわず、最後は地元愛

【関西の議論】「ならまち」が滅んでいいのか…実は2割が空き家「町家バンク」ふるわず、最後は地元愛
【関西の議論】「ならまち」が滅んでいいのか…実は2割が空き家「町家バンク」ふるわず、最後は地元愛
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 奈良市中心部の「ならまち」は築100年の古民家が立ち並ぶ人気の観光スポットだが、実はその約2割は空き家となっている。歴史的町並みを維持しようと、市は平成23年度から古民家の売買・賃貸の仲介などを行う「ならまち町家バンク」を実施しているが、契約成立に至ったのはわずか5件。修復に膨大な費用がかかることなどから再生・保存がおぼつかなく、周囲が気付かないうちにひっそりと消えていく建物も多い。古民家の利活用の難しさが改めて浮き彫りになる中、市は「空き家対策特別措置法」が施行されたのを受け、対策事業をプロポーザル(企画提案)方式での公募を始めた。全国的に空き家問題が深刻となる中で「ならまち」のケースは注目されそうだ。

借り手希望は多いが…

 「ならまち」は、奈良時代に勢力を誇った元興寺(世界遺産)の境内を中心に、風情ある町家が立ち並ぶ旧市街地。室町時代には奈良発祥の酒のほか蚊帳、墨の製造などで栄えた商都で、堺や京都と並ぶ存在だった。

 市などによると、現在ならまちにある町家は約1600軒。だが、そのうち昔のままの形で残された古民家は3割程度といわれる。町家の2割は空き家で、市内の空き家率の平均(25年度で12・47%)よりも高い。奥行きが長く、隣家と接する町家特有の構造や、車の行き来が難しいならまちの細い路地、さらに「蓋を開けてみないと分からない」とされる修復費用などが再活用のネックになっている。

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