浪速風

「ぶり」ではなく日本人初を

五輪での日本の初メダルはテニスだった。1920年のアントワープ大会。男子シングルスで熊谷一弥が、ダブルスで熊谷と柏尾誠一郎が銀メダルを獲得した。同年のウィンブルドンでは清水善造が挑戦者決定戦(現在の準決勝)に進んだ。転倒した相手への「やわらかなボール」はこの試合である。

▶わが国にテニスが伝わったのは明治11(1878)年で、用具が高価なためゴムボールを使った軟式が主流だった。軟式育ちは自然にスピンの効いた打ち方になるというが、門外漢にはよくわからない。日本のテニスは強かった。そして再び、錦織圭選手の大活躍が世界を驚かせている。

▶全仏オープンで佐藤次郎以来82年ぶりのベスト8に進出し、きょう準々決勝を戦う。佐藤は世界ランク3位になったが、ヨーロッパ遠征の途次、マラッカ海峡で投身自殺した。国を背負う重圧が動機だったという。錦織選手には笑顔ではね返してほしい。いずれ「ぶり」が「初」になる。