汚職事件で激震が走る国際サッカー連盟(FIFA)は29日(日本時間30日未明)、スイス・チューリヒで開いた総会で会長選挙を行い、現職のゼップ・ブラッター会長(79)=スイス=が、アリ・フセイン王子(39)=ヨルダン=を破って5選を決めた。ブラッター氏は勝利を受けて「FIFAという名のボートをしっかりと浜辺へ導く」とあいさつしたが、会長選はブラッター氏に辞任を迫っていた欧州サッカー連盟(UEFA)と「非欧州」の分断をいっそう深めた。UEFAはワールドカップ(W杯)のボイコットをちらつかせており、サッカー界最大の財産であるW杯の崩壊危機さえ浮上してきた。(SANKEI EXPRESS)
「ともに行こう、レッツゴー」
投票には加盟全209協会(国・地域)が参加。ブラッター氏は1度目の投票では当選に必要な3分の2に届かない133票にとどまった。UEFA(53協会)を中心とする現体制批判派の受け皿となったアリ王子が73票を集める健闘を見せたが、過半数の得票で当選が決まる2度目の投票を前に辞退した。選挙直前のスキャンダル噴出で、今後FIFAにはさらに厳しい目が向けられるが、ブラッター氏は「FIFAの地位を回復する責任は持つ。自信もある。私は完璧ではないが、完璧な人などいない。ともに行こう。レッツゴー、FIFA!」と叫んだ。